「ワンランク上のベースメンテナンス」第2回目の今回は、ネックの反りの直し方について、詳しく書いていこうと思います。
自分で出来る!ワンランク上のベースメンテナンス
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ネックの反りとは?
大抵のベースのネックは、木材で作られていると思いますが、木材は弦の張力(テンション)や湿気など、様々な要因で反り曲がります。特に日本は、夏に湿気が多く冬は乾燥するという気候なので、シーズンごとにネックが反ってしまう、なんてことがよくあります。
また、木は生き物なので個々に反りの癖があり、反りやすい木、反りにくい木があります。これは、どんなに値段の高い木材でも、安い木材でも同じことが言えるので、高い楽器を買ったからといって反りにくいということはありません。
ネックの反りの種類
ネックの反り方は大きく分けて3つになります。図で見てみましょう。図では分りやすいように、かなり極端に反らしてます。
1. 順反り
弦の張力により、ネックが反ってしまう状態です。ネックと弦の間に隙間が空いてしまい、弦高が高くなってしまうのが特長です。ベースは、ハイポジションだけ順反りになる、ハイ起きという反り方が多く、ハイ起きになると、ハイポジション(12フレットらへん)の音にビビりが発生します。
本来は、完全に反りのない状態に調整するのが望ましいのですが、後述する
逆反りになってしまった場合、完全に弾けなくなってしまうので、反りを直すときは若干順反りにすることが多いです。
2. 逆反り
木の癖や、湿気により、弦の張力に逆らい、逆に反ってしまう状態です。逆反りになってしまうと、1フレットを押さえたときなど、ローポジションの音がつまり、音が出なくなってしまいます。ローポジションに音づまりが出る場合は、ネックの逆反りを疑いましょう。
3. ねじれ
順反りになっている部分と、逆反りになっている部分が混在する状態や、1弦の方だけ反ってしまったり、4弦の方だけ反ってしまうなど、変な反り方をしてしまう状態です。
ねじれてしまった場合は、基本的に自分では直すことは出来ないので、楽器屋やリペアショップなどに持って行って、直してもらう必要があります。ねじれの修理方法はいくつかありますが、超高温のドライヤーをネックに当てて木を無理やり曲げたり、フレットをねじれに合わせて擦り合わせたりと、作業が大掛かりになるので、修理費が高額になってしまうことが多いです。また、ねじれがひどい場合は、楽器屋などでも直すことが出来ないこともあります。
ねじれがそこまでひどくない場合は、弦高を高くすれば音づまりを回避したりも出来ます。多少弾きづらくなりますが、弾けないこともありません。
ネックの反り確認方法
ではネックの反りを確認していきましょう。反りの確認方法は簡単で、弦の1フレットと、最終フレットを指で押さえて、その間に隙間が出来ているかを確認するだけです。
弦とフレットの間に隙間が出来ていたら、順反りになっている証拠です。目視で隙間が確認出来ない場合は、押さえてるフレットの間を別の指でタップしてみましょう。カチカチと弦がフレットに当たる音が聞こえたら反っているということです。
ネックの、どの部分が順反っているかを知りたい場合は、抑えるフレットの位置をずらしてみて下さい。例えば1フレットと12フレットを押さえたときよりも、12フレットと最終フレットを押さえたときの隙間の方が大きかったら、ハイポジションが反っている、ハイ起きということになります。
逆に、普通に演奏していて、ローポジションの音がつまって出ない場合は、逆反りの可能性を疑いましょう。
そして、演奏しているときにローポジションに音づまりが発生するのに、ハイポジションの方に隙間が出来てしまう場合などは、ねじれてしまっている可能性高いです。
ネックの反りを直す
ネックがどのように反っているかが分かったら、早速直していきましょう。
ここからの作業は、手順を間違えると、最悪楽器が壊れてしまう可能性もあります。手順をよく読み、自己責任でお願いいたします。
必要な物
工具
マスキングテープ
マスキングテープで弦を固定
トラストロッドを回す為にネックを一旦外すので、弦が外れてしまわないように、マスキングテープで固定します。ネックを外さなくてもトラストロッドが回せるタイプのベースの場合は、このステップはスキップして下さい。
ペグを緩める
ネックを外す前に、必ずペグを緩めて下さい。緩めないで、そのままネックを外そうとすると、ネックにかなりの負担がかかってしまいます。
ネックを外す
ペグを緩めたら、ネックを外していきます。ネジは1本ずつ外していくのではなく、少しずつ全部のネジを緩めた方が、木へのダメージが減ります。
トラストロッドを回す
それでは、トラストロッドを回して、反りを直していきましょう。順反りの場合は時計回りに、逆反りの場合は反時計回りに回していきます。反りの具合によって回す角度が変わってきますが、初心者のうちは、まず45度くらい回して様子を見ます。
回しすぎると、急激な変化に耐えられず木が傷んでしまうので、目安として
1日に90度以上は回さないようにして下さい。
ネックを取り付ける
ネックを取り付けるときの、ネジ締めが、今回一番注意するべきポイントです。通常ネジは時計回りに締めるものですが、そのまま時計回りに回してはいけません。ネジ穴を気にせず、そのまま時計回りに回してしまうと、ネジ穴が潰れてしまうからです。ネジを締める時は、必ず一回反時計回りに回し、「コトッ」と音がしてから時計回りに回しましょう。
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ネジを締める時は、外すとき同様、全部のネジを徐々に締めていきます。そして、最後にキツく締める時は、図のようにXを描くように順番に締めていくと、ネックとボディがしっかりと固定され、音抜けが良くなります。
ネックの反りが直ったかを確認する
ネックの取り付けが終わったら、チューニングをし、再び
ネックの反りを確認します。まだ反っている場合や、回しすぎて想定よりも多く逆に反ってしまった場合は再度ネックを外し調整を繰り返していきます。
函南助教授のあとがき
以上が、ベースのネックの反りの直し方になります。慣れないうちは、ネックを外すのに抵抗があったりするかもしれませんが、慣れれば大したことはありません。ネックの反り直し程度で、お金を払って直してもらうのも馬鹿らしいので、是非挑戦してみて下さい!
次回は、「指板調性」について詳しく書いていこうと思います。しばしお待ちを。
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