ここ10年くらいでスマートフォンやタブレットのシェアが爆発的に伸びていることは誰もが知る事実です。DTM業界でも、iPhoneやiPadで使える機材やアプリが日々増えています。しかし、現状まだまだパソコンには追いついていないと強く感じます。今回は、それらの理由について書かせていただきます。
はじめに
はじめに、この記事で言うところの、iPoneやiPadでDTMをやるのはまだ早いと思う定義を、誤解がないように記載しておきます。
本格的にDTMで曲を作りたい場合
iPoneやiPadは手軽で、どこにでも簡単に持ち運べることが最大の利点です。なので、簡単なデモ音源を作成する場合なんかは重宝します。しかし、iPoneやiPad単体でそれなりのクオリティの曲を作成したいという場合においては、向いていないと言わざるを得ないでしょう。
あくまで現段階の話
あくまで、この記事を書いている2018年01月現在のiPoneやiPadに焦点を当てた内容です。今後、スマートフォンやタブレット端末はどんどん進化して、パソコンを追い抜いて行くことが目に見えているので、それに伴いDTMもやり易くなって行くはずです。
1. 作業領域が狭い
作業領域は、狭ければ狭いほどスクロールが増えるので、作業効率が低下します。2018年01月現在、最大サイズのiPadは12.9インチ。最大でも普通のノートパソコンと同等程度のサイズです。24インチや27インチのデスクトップパソコン用のモニタには勝ち目がありません。
かと言って、これ以上iPadのサイズを大きくすると、タブレット最大の長所である手軽さが失われてしまいます。ハードウェアである以上、この問題は中々解決しません。VRやARの進化、SFに出てくるようなホログラムモニタが出てきたら解決しそうですね。
2. キーボードショートカットが使えない
パソコンに慣れている人なら、大抵はわかると思いますが、パソコンの操作はキーボードショートカットを使うことにより非常に効率的に進めることが出来ます。これはDTMでも同じです。これがタッチパネルの端末だとコピペするにも、長押ししなくてはいけなかったり非常に非効率です。
「じゃぁ、物理キーボードを付ければいいのか」と言われると、それも微妙です。携帯性が低くなるし、二つ持ち運ばなくてはいけません。それなら一つにまとまっていて、複雑なことが出来るノートパソコンの方が良いのでは?
3. プラグインという概念がない
iOSは仕様上、アプリ一つ一つが単体で完結しています。基本的に、サードパーティ製のプラグインを後から追加するという概念がありません。
パソコンの場合、VSTとかAUのようにプラグインの規格があります。プラグインを開発する側からしても、規格に合わせて作れば良いだけです。しかし、これがアプリになってくると、アプリごとに開発しなくてはいけなくなります。現在の仕様では厳しいと言わざる得ないでしょう。
4. 同時に画面に表示出来るアプリがたったの2つ
iOSでDTMをやる場合、プラグインが使えないので、複数のアプリを使って作業することになります。しかし、スプリットビューで画面を分割しても、同時に画面に表示出来るアプリがったの2つしかありません。アプリ間の連携が非常にやりづらい仕様になってしまっています。
5. 高品質な音源のアプリが少ない
現状だと、高品質な音源のアプリが非常に少ないです。例えば、本格的なピアノの打ち込みをしたいとしましょう。パソコンでは、高品質ピアノ音源 Ivory II Grand Pianosを使用します。しかし、現状iOSでIvory IIと同等のピアノの音を出せるアプリはありません。
少し横暴な説明になってしまいましたが、こうゆうことです。時間をかければ、同じような音を出すことも可能なのかもしれませんが、非効率ですね。
函南助教授のあとがき
現状ではまだまだなところも多いですが、今後技術が発展していって、iPadとMacが統合したような端末が出て来る頃には、携帯端末でのDTMももっとやり易くなっていることでしょう。それまでは素直にパソコンでDTMやってた方が良いのではないでしょうか。