「オーディオインターフェイスとモニタースピーカーなくても、とりあえずDAWさえあればDTM出来るでしょ」的な意見を頂いたので、これについて私の意見をお答えいたします。
目次
Q:オーディオインターフェイス無くたってDTM出来るのでは?
DTM界では、DTM初心者に「とりあえずDAW・オーディオインターフェイス・モニタースピーカーを買え」みたいな風潮がありますが、DAWさえあればDTM出来ますよね? 私は、実際に5年ほどオーディオインターフェイスを使わないでDTMをやっていました。正直「とりあえずオーディオインターフェイス」の風潮が理解出来ません。
A:出来るけど、制限が多いです
結論から申し上げますと、確かにDAWさえあればDTMで曲を作ることが出来ます。ただ、色々な面で制限がかかってしまい、作れる曲の幅がかなり狭まります。また、ミックスに関しては、ほぼ成長が見込めないでしょう。
1. 楽器の録音が出来ない
オーディオインターフェイスが無いと楽器を繋げることが出来ないので、エレキギターやエレキベースなどを録音することは出来ません。必然的に、打ち込みでの作曲のみになるので、作れる曲に制限がかかります。
2. 歌の録音が出来ない
オーディオインターフェイスが無いと、歌を録音する場合に、必然的にパソコンのマイク端子にマイクを繋げるか、内臓マイクを使うことになります。ただ、これだとレイテンシ(音の遅延)が発生してしまいます。人間の耳は15ミリ秒以上の遅れがあるとかなりの違和感を感じてしまいます。つまり「歌を録音することは出来るけど、違和感のあるクオリティになる可能性が高いよ」という話です。
そんな中でも、Macの内臓マイクは比較的レイテンシが低く、割と音も良く録れるので、録音出来ないことはないかもですね。
3. ミックスの腕は上がらない
パソコンに標準搭載されているサウンドデバイスや、市販のイヤホン・スピーカーなどのほとんどは、音がフラットではありません。ミックスは基本的に、どんなイヤホン・スピーカーで聴いても良い音に聞こえるようにする作業なので、基準となるフラットな音響環境が必須になります。
例えば、低音で有名なBOSEのスピーカーでミックスをしたとしましょう。デフォルトの状態で低音がガツガツ出ているので、ミックス時に低音をどの程度出せば良いかが、わからなくなってしまいます。仮に、自分のスピーカーで良い感じの音に仕上がったとしても、ネットにあげたら「低音が大きすぎる」とか逆に「音がしょぼすぎる」となる可能性が高いです。
今のは極端な例ですが、フラットではない環境でミックスをしても、基準がそもそもズレているので、ミックスの腕は一向に上がらないでしょう。
1, 2, 3を全て飛ばした方へ
楽器も歌も録音せずに、ミックスも特に興味のない方には、オーディオインターフェイスもモニタースピーカーも無理して揃える必要はないです。どうぞ、そのままDTMをお楽しみ下さい。
函南助教授のあとがき
どちらかというと「オーディオインターフェイスないとDTM出来ないから買え!」というよりは、「オーディオインターフェイス使わないでDTMやっても、あんまりメリットないから買った方が良いよ!」って感じですかね。
ちなみに、私が初めて買ったオーディオインターフェイスは、Line6のTONEPORT UX1で、特売で5,000円くらいでした。パソコンの音と比べて音がめちゃくちゃ良くなって、感動した記憶があります。